〜理容室・美容室(美容院)経営の法律知識〜

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4-5.アートメイクについて(1)
  医師免許を有しない者が、まゆやまぶたに入れ墨メイク(いわゆる「アートメイク」)を行うことと、医師法違反となります。 これについては、いくつか厚生労働省からの通達が出ています。

○「医師法上の疑義について」
 (平成12年8月11日 日医発第488号 厚生労働省通知 抜粋)

 いわゆるエステティックサロンにおいて医師免許をもたない従業員が行う、医療用レーザー脱毛機器を使用した脱毛処理、アートメイク、ケミカル・ピーリングにつき、これを業としてなすことは医師法上、医業にあたるとの見解を示したものであります。
 いわゆる「永久脱毛」ならびに「入れ墨メイク」を業として行うことについては、いずれも医師法第17条の医業に該当する旨の見解が既に示されており 今回の通知もそれらの趣旨に沿ったものと解されます。

○いわゆる「入れ墨メイク」について
 (平成元年6月7日 医事第35号 抜粋)

 顔面にあるシミ・ほくろ・あざなどの部分の皮膚に肌色等の色素を注入するに際して
  1. 問診を行い、その結果をカルテに記入し、
  2. シミ部分等に麻酔薬(製品名キシロカイン)により塗布または注射の方法で局部麻酔した後、
  3. シミ等の部分の皮膚に針8縫針等をスティック棒に差し込んで接着剤で固定して作ったもの又は電気紋眉器)によって相当時間反復して刺すことにより色素を注入し(その際拭き取りながら行う)、又は直接注射器で液体色素を注入するなどの行為をなすことは医師法第17条の医行為に該当する。
○医師法上の疑義について
 (平成12年6月9日 医事第59号 厚生省通知 抜粋)

 次の1〜3のいずれも、その行為を業として行えば医業に該当する。
  1. 省略(レーザー脱毛について)
  2. 医師免許のないエステサロン従業員が、来店した患者に問診する等して眉、アイラインの形をアイブロウペンシルで整えた後、患者を施術台に寝かせ、電動式のアートマシンに縫い針用の針を取りつけたアートメイク器具を使用して、針先に色素をつけながら、皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為をした後、患部をアイスゲールで冷やし、更に鎮静効果のあるキシロカイン等の薬剤、化膿止め薬剤を患部に塗布している。
  3. 省略(ケミカルピーリングについて)
○医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて
 (平成13年11月8日 医政医発第105号 厚生労働省通知 抜粋)
  • 脱毛行為等に対する医師法の適用  以下に示す行為は、医師が行うのでなければ保健衛生上危害の生ずるおそれのある行為であり、医師免許を有しない者が業として行えば医師法第17条に違反すること。
    1. 省略(レーザー脱毛について)
    2. 針先に色素を付けながら、皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為
    3. 省略 (しわ、しみ等の表皮剥離)
  • 違反行為に対する指導等 違反行為に関する情報に接した際には、実態を調査した上、行為の速やかな停止を勧告するなど必要な指導を行うほか、指導を行っても改善がみられないなど、悪質な場合においては、刑事訴訟法第239条の規定に基づく告発を念頭に置きつつ、警察と適切な連携を図られたいこと。
 医師法違反は、刑法上大変重い罪となり、逮捕されることもあります。最近では
  • 2004年7月16日 姫路市内のエステ店の女性経営者(57)を逮捕。 2002年2月から2004年4月までの間、同市内の無職女性(72)歳ら4人に、医師免許を持たずに、まぶ たや、まゆ毛の肌に針で直接色素を注入するアートメークをした容疑。
  • 2004年11月22日 京都市右京区西院三蔵町のエステティックサロン経営者T(27)と従業員(27)の2人を逮捕。昨年5月から今年10月にかけて、医師免許がないのに、南区の女性(24)ら市内の4人の女性客に、まゆ毛や目の周囲に電動器具を使って色素を注入する医療行為を計11回施した疑い。同店でメイクを受けた客の1人が、「目がはれて痛い」と医師の診療を受けて、警察署に相談したことから発覚。
  • 2004年12月21日 兵庫県尼崎市のエステ店の女性経営者(53)を逮捕。 今年7月、医師免許がないのに、滋賀県内の主婦(28)に対し、針先に色素をつけてまぶたにアイラインを施す手術をするなど、客の女性3人に医療行為をした疑い。主婦は皮膚が出血し、まぶたがはれたという。
  • 2005年6月10日 神戸市長田区のアートメーク業、韓国籍の容疑者(61)を逮捕。昨年9月、医師免許がないのに、自宅で同区内の74歳と76歳の女性2人の眉に、針の付いた電動式器具で色素を注入した疑い。
 といった例があります。
 また、逮捕後に懲役1年(しかも実刑!)が言い渡された例もあります。(平成2年3月9日 東京地裁)
 この事件は、東京のある美容室の経営者が医師免許なしに、昭和63年4月ころから約1年間、お店で前後12回にわたり、10名のお客さんに対し、あざ、しみ等を目立ちづらくする目的で、局所麻酔剤キシロカイン注射液を塗布したり注射したりし、さらには注射器や針を使用して色素を注入する等の行為をして、医師法違反の罪に問われたものです。
 もっとも、この事件の場合は
  • 正常な皮膚ではなく、いずれも皮膚が病変しているあざ、しみ、火傷跡に施したものである。
  • 客に強い痛みを訴えられたため、麻酔薬キシロカインが人体に対し中毒等の副作用があり、取扱に危険が伴うことを知りながら大量の麻酔薬を注射器などとともに仕入れて使用するようになった。
  • 医師ではない者が注射行為をすることが違法であることを十分承知しながら、専ら営業利益をあげる目的で、安易にその麻酔薬の塗布や注射での使用を繰り返した。
  • さらには、色素を皮膚内に入れる時間を短縮するために注射器を用いて色素を注入する方法をとるようになった。
  • アートメイクの際にはいずれの客にも相当の出血があり、行為後は炎症がみられるという正常な皮膚に対するものより一層深刻な損傷を与えた。
  • 反面、色素の定着が不安定なために行為前とそれほどの相違がない状態に復してしまったり、あるいは、色素の注入が均一ではないために色素がむらになって目立ち、かえって見苦しくなるという結果に終わっている。
  • そのため、あざ等を目立たなくするというアートメイク本来の目的はほとんど達成されていない。
  • 従業員らに対しては、医師の資格があるかのように装うとともに、正常な皮膚に化粧品であざ等を描いてこれを消し、いかにもアートメイクで美容したかのようにみせかけるなどの方法を用いて宣伝して積極的に集客活動をした。
  • そのため、アートメイクが宣伝にあるような効果がみられないとの苦情が次第に多くなってきたにもかかわらず、これを隠して営業を継続し、アートメイクに関与して以来一億円を越す多額の利得を得ていた。
 という、かなり悪質なケースでした。



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